シャボン玉2009/05/01 12:41

M27はDumbell Nebulaと呼ばれています。「ダンベル」つまり亜鈴状星雲と呼ばれる理由は泡の両側の縁にみえる赤い部分とそれをつなぐ構造から鉄アレイをイメージして付けた名前なのだろうと思います。ところで、シャボン玉の表面に日が当たるとせっけんの膜は光の干渉できれいな虹色の皮膜にみえますが、このM27も宇宙で誰かが膨らませたシャボン玉のようにみえます。 様々な天体のカラー写真を眺めていると、これらの天体が肉眼で見えなくて実に良かったと思うときがあります。入り乱れた暗黒星雲の後ろで妖しく光る星雲や虹色ドーナツ、巨大シャボン玉。それを見ながら日々を暮らすにはサイケデリック過ぎるからです。望遠鏡で探してようやくみつかるぐらいが丁度良い。 カラー写真を撮り始めたときにこのシャボン玉とこと座の虹色ドーナツの色具合にはすこし驚きました。家の「近く」にこんなものがあったなんて。 今年はイタリアでガリレオが望遠鏡による天体観測をはじめてから400年目を記念した国際天文年です。そう言えば異端者として軟禁されたガリレオの葬儀は死後90年過ぎてのことであったと聞きます。過去の残酷な歴史です。これは400年も昔の話ですが、人の愚かさにおいては今の世界もたいして変わってはいないように思えます。

アメリカ2009/05/01 13:04

はくちょう座のいちばん明るい星、デネブの近くにこのNGC7000という赤い星雲があります。北アメリカの地図に形が似ているのでNorth America Nebulaと呼ばれています。この輝くアメリカ合衆国のすぐ隣、カリブ海のキューバあたりにはもうひとつ別の星雲があり、ペリカンの形をしていることからペリカン星雲とも呼ばれています。わたしの目では見えませんが目でも見えると言う方もいます。面積が大きな星雲なので夜空が明るい町で見るのは難しいと思いますがいずれ確かめてみたいと思います。アリゾナに住んでいた頃に見ておけば良かったのですが、かの地には歴史的な航空機のコレクションやグライダーの滑空場などがあり、そちらばかり見ていました。アリゾナの真ん中あたりにセドナという赤い山ばかりある高原の観光地があります。アリゾナには珍しくふつうに食べられるお寿司屋があったのでときどき出かけていたのですが、セドナはオカルト、UFO好きの方にとっては聖地のようです。そこなら北アメリカ星雲も見えるかもしれません。見えないものも見える場所のようですから。

みみずくの思い出2009/05/01 13:13

画面の右側にあるふくろうの顔の形をした星雲はOwl Nebulaと呼ばれるM97という惑星状星雲です。左上のほうにはM108というおおぐま座の銀河が見えています。ふくろうの顔と言われるとその姿にしかみえません。たしかにふくろうです。 わたしが子供の頃、つまり'70年代の首都圏新興住宅地はそれまでにあった水田を埋め立てながら拡張していましたが、ところどころに残る農家のまわりには大きなクヌギの木や林が残っていました。歩きながら木の上におおきなミミズクが棲んでいるのをよくみかけたものでした。スズメやオナガ、ムクドリなどと違って人間のように平らな顔をした大きなミミズクは知性を備えているように思えました。今では帰省しても農家の林もミミズクの巣も見当たりません。高い木の上から考え深そうに私たちを見下ろしていた連中はどこに行ったのだろうかと思います。