ありふれたもの2009/05/28 21:21

梅雨に入る前、天気も気まぐれな五月の終わりになると、週末にいつも出かける博物館の庭園にも山帽子の花が咲き乱れます。この花には華やかさはありませんが、大きな群落が花をつけた様は静かにこころに訴えます。ありふれた花ですが簡素な十字形の花をわたしは気に入っています。メイプルソープという若くしてHIVで死んだ優れた写真家がいます。わたしはそのひとの花の写真が好きでよく写真集を眺めていました。とりわけモノクローム写真はかたちの美しさを強調してみせてくれます。そこに感じるのは切り取られた花の美しさで、荒木経惟さんの花の写真にみられるような物語は感じられませんが、わたしはそれが良いと感じます。