撮り初め オリオン座2011/01/05 11:15

久しぶりにきちんと準備をして夜空の写真を撮ってみました。撮影に邪魔な月もいないし、風もない。絶好の機会なのですが白く光る雲が南アルプスから流れてきます。オリオン座は南の空に高く輝いています。 大昔のエルマー9cmとM8で三つ星周辺の星雲を撮ってみました。50年も昔のレンズですがなかなか優秀で開放で撮影しても星のかたちが大きく歪むことはありません。このレンズの分解能を生かすにはF11が最適なのですが夜空を撮るのにそこまで絞ることはもちろんありません。星野写真は開放から1段絞って撮れと昔言われた気がしますが、絞り形状に起因して多角形の星になってしまうのがいやでこの写真も絞り開放で撮りました。エルマーの鏡筒は細めなので開放では周辺減光が生じます。十分に露光できる一般的な撮影ではバックグラウンド露光量の差が問題となることはありませんが、夜空の撮影では背景と天体に大きな光量差がないために不都合です。奇妙な光条が星から伸びるのを嫌って開放にするか、フラット補正の手間を避けるために絞るかは悩ましい問題です。 小さな2連の三つ星に重なるM42,M43も見えますが、オリオンのベルトの三つ星左端には赤い星雲に暗黒星雲が馬の顔を映しだしている様子も見えます。 完全にマニュアル制御の冷却CCDとは違い、長時間露光を行うと自動でダークフレームを撮り始めてしまうのでバッテリーが足りなくなって落としたフレームもあります。ACアダプターでも使えれば良いのですが。CCDのゲインとオフセットを独立して調整できる冷却CCDとは違い、ISO感度しか変えられないこともこういう特殊な撮影には不都合です。ダーク補正が自動で処理されるために元のRAWデータが残らないことも不都合です。きわめてSNの悪いデータを扱うため、ダーク補正やレンズ固有のフラット補正データは分けて扱えることが重要だからです。 そこを割り切ればカメラ任せの処理で撮れるものを撮るのは気楽ですね。ISO感度で640、露光は10分の1フレームのみで撮影しました。大星雲の中心部にあるトラペジウムの星々は白く飛んでしまっていますがチューリップの花びらのような星雲の形はよく見えています。