迷子の銀河 ― 2009/04/02 23:49

右下の明るい星のすぐ上にあるのがM109, 左にはNGC3953。この2つの銀河と三角形をつくる並びでUGC6983という小さな銀河がうすボンヤリと写っています。おおぐま座にあるM109の特徴は渦巻きの腕をつなぐ太く明るい棒のような構造です。この写真でもその特徴がよくわかります。ところでM109というカタログ番号ですが、実際にメシエが記録した位置には銀河はなく、2つのどちらがそうであるのかはよくわからないのだそうです。
仕事を終えて夕暮れの空を見上げるとオリオンはもう西に傾き、しし座が高く昇っていることに気がつきます。桜も咲いているしすっかり春なのだなと感じます。夜空の写真を撮るようになってからは春は雲も多くてなかなか写真が撮れない難しい季節だと思っていましたがこれからしばらくは目で楽しもうと計画しています。自転車で出かけるにも花の季節は良いですね。
ニュータウンのその後 ― 2009/04/04 13:54

M105(中央)、NGC3384(右上)、NGC3389(左上)の3つの銀河が集まっています。明るい2つの銀河はぼんやりとした光芒に過ぎませんが、これこそが楕円銀河と言われるゆえんです。楕円銀河はその形成の初期の短時間に多くの星を形成したあげく、星のもととなる物質が枯渇した状態にあると言われています。この銀河を形成している星はその頃に生まれた古い星ばかりであると言われています。楕円銀河はハッブル望遠鏡のような巨大な望遠鏡で観察しても興味をひく目立った構造は見えませんが、春の空にはたくさんの楕円銀河があります。わたしが育った町は高度経済成長期に数多くつくられた新興住宅地でした。住人のほとんどが同年代で、小学校の1学年に十数クラスもあったことを覚えています。成長するにつれてその子供たちはよその土地に行き、今の住人はお年寄りばかりです。帰省しても昔の友達はもはやそこにはいません。楕円銀河はそんな世界?
Mirage-7 ― 2009/04/05 14:29

ロシアのSTFというメーカーの7インチマクストフ望遠鏡です。鏡面精度に優れていることと頑強であることをうたっています。いささか口径が大きいため部屋から外に持ち出しても数時間は像がゆらいで落ち着きませんが、さすがに口径なりの明るさはあるので観察用にフィルターを入れても十分に使い物になります。市中の空では光害もありますからなんらかのフィルターは使うことが多いため重宝しています。本来のフォーカサーは棒のように突き出たつまみひとつですが、惑星を眺めるときなど微妙な調整には微動も欲しくなります。像がゆらぐこともありピント位置には迷うことも多いです。そこでMoonLiteというガレージメーカーのフォーカサーを付けて使っています。ただしネジも含めてアルミなので取り扱いには注意が必要です。オプションによっては小さな望遠鏡が買えるくらいの値段になりますが、このフォーカサーは絶品です。Mirage-7はいささか重いため小さな経緯台には載せられずベランダで気軽に使うには不向きですが、天気の安定した週末などにゆっくり眺めるのには悪くありません。SXD赤道儀で十分に使えます。
吉田正太郎さんの「反射望遠鏡光学入門」という本には同じF値のカセグレン系を比較した文献からの引用があり、中心像に限ると星像がシャープな系はシュミットカセグレン系、リッチークレチアン系、純カセグレン系であり、像面が平坦な系としてマクストフカセグレン系、シュミットカセグレン系、ドールカーカム系が挙げられています。わたしが最近気になっているドールカーカム系は中心像のシャープさに欠け、惑星や二重星の観測には向かないと書かれています。もっとも望遠鏡の形式を選ぶことは特定の製造メーカーを選ぶことと等しいので、とりわけ分解能については加工や組み立ての善し悪しに影響される話であろうと思います。わたしの実情では星のまわりの回折リングもきれいにみえない日がほとんどであるので、中心像もそう悪くなく、像面が平坦で写真向きのマクストフカセグレンは良い選択かと思います。
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