夜空で宝探し

わたしはQHY8という冷却CCDカメラを撮影に愛用しています。このカメラはSONYのICX453AQというピクセルサイズ7.8umのCCDを使っています。オリオン座の馬頭星雲のまわりの赤いHα(655nm)光を出している星雲も好きでよく撮影します。撮影に使う望遠鏡は補正レンズでF4.5としたSky90をほとんどの場合に使っています。この明るさのレンズではCCD面に出来るイメージはHα光だと3.6um、OIIIでは2.7um程度の分解能を持っています。銀河や星雲など面積がある天体は良いですが、小さな星屑の輝きも美しく撮影したいと思えばカラーCCDでは無理で、モノクロCCDとフィルターワークで色を再現するしかないということがわかります。モノクロームのCCDで精選した天体をじっくり撮るようなこともいずれはやってみようと思います。 こんな計算をしていて気づいたことがひとつありました。わたしはレンジファインダーのカメラを愛用しています。露光計がないので、昼間の野外での写真は絞りF16でシャッター速度1/125くらいでだいたい撮影します。そこまで絞るとフォーカスも深いので適当にスナップ写真を撮るのには楽です。フィルムはそれで良かったのですがデジタルカメラではどうしても拡大して眺めてしまうので細かなアラに気がつきます。そこで先ほどの計算をしてみたのですがM8のCCD KAF10500のピクセルサイズは6.8umです。可視光の中心波長500nmに対して計算するとF16のときのイメージ解像度は9.8umとなります。これではCCDの解像度を生かせている気がしませんね。一方、富士フィルムRDPIIIのSEM写真をみると粒径は1μ以下で平均すると1μm強の距離で分散しています。大昔の本には感光材料の粒径は数10μmと書いてありましたがフィルムも進歩しているのですね。F16で撮影した場合、RDPIIIのような粒径の細かなフィルムでは写真の解像度はレンズで決まり、大昔のB&Wフィルムのような粒径が大きなフィルムではフィルムで決まることになります。CCDはちょうどクリティカルな条件に相当します。CCDの解像度を生かすにはF16はいささか絞り過ぎであって、F8くらいがちょうど良いように思えます。私がよく使う35mmのレンズの収差図をみるとF5.6が最良の特性になるようですが、この絞りなら像面での分解能は3.4umです。6.8umのピクセルの分解能を堪能できそうです。まあ、そうは言ってもそのようには撮らないんだろうなあ。

先日、会社の同僚がTV番組で見たカラスの群れとオオタカの戦いについて話していました。オオタカはカラスに比較して小さな鳥ですが、うまく水場に誘ってカラスを溺れさせたそうです。溺れたカラスの死体を仲間のカラスがついばむ姿があさましい。カラスが不吉な印象を与えるのももっともだと彼は言うのを聞いておりました。そのときは思い出さなかったのですが毎年わたしがカヤック遊びに出かける和歌山の熊野神社には３本脚のカラスのシンボルが描かれています。八咫烏は神様の使いです。彼らは脂身を好むらしく、道路でひかれた猫や残飯をあさるので穢れた卑しい鳥だと扱われることが多いですが、飛ぶ姿は美しいと思います。航空黎明期の飛行機にもカラスによく似たものがいくつもあります。 他の国ではカラスはどんな身分なのだろうと調べてみました。神の使いというお話が多いようですが、北欧の戦争と死の神の使いである２羽のカラスの名前の意味は「思考」と「記憶」だそうで、カラスが仕える雇い主は不吉でもカラスそのものについては知恵のあるこの鳥の特徴をよくとらえた良い名前だと思います。エジプトでは太陽の鳥だそうですし、アーサー王伝説のあるイギリスではカラスいじめは王室への反逆を意味するというお話もありました。必ずしも不吉な悪者ではなさそうです。 ところで一昨年の和歌山旅行ではキャンプ地の食物をカラスが荒らすので仕返しにキムチを入れたビニール袋を置いてみました。一口ついばむとカラスは来なくなりましたが、熊野神社のお使いのカラスであったのか、それ以来、シーズンになるとメンバーの不都合が起きて熊野川には近づけません。