エコに骨抜きにされる ― 2011/10/05 21:24

わたしが今乗っているオートバイに限らず、いまどきのバイクは排気ガス規制のおかげでキャブレターよりも制御の自由度が高いインジェクションとコンピューターを使っています。ほんの20年前、エコロジーなんて言うと「アカ?」と言われた時代にはキャブレターがすべてのオートバイで使われていましたし燃料ポンプも使っていませんでした。わたしが好んで乗っていた2ストロークエンジンのバイクの排気ガスは昨今の「エコ野郎」が目を廻すくらい汚かっただろうと思います。神輿としてのエコロジーへの苦情はさておき、排気ガス対策の結果として高度な機械となったオートバイですが、昔のようなアクシデントに対する強さも窮地に陥った時に選べるアクションもすっかり失われてしまいました。 昔のバイクなら電源が失われてもキックスターターや押しがけで負圧になれば霧化した燃料をシリンダーに送り込めたしエンジンもかけられたのですが、今の構造では無理です。エンジンの調子が悪くなってもインジェクション装置についているのはアイドル調整のつまみぐらいで、やれることもありません。 バイクを買う時に「ツーリングに工具持ってくのもやめました。無駄だから。」と整備をしてくれたお店のひとも言っていました。
もっとも250TRで近くの山に出かけるくらいではセルフスターターは圧倒的に便利です。エンストするのは大抵きびしい状況であるのでキックできるほど安定な場所でもありません。そこで指一本で始動できるのはすばらしい利点です。踏み降ろした足にステップをぶつけて泣く事もないですし、足の裏に戻って来たキックアームが刺さるなんてこともありません。 ただ、たまにはキックでエンジンかけたい日もありますね。 それにわたしの趣味のバイクはプリミティブであるほどいいのです。生業なのにナンですが、電子デバイスなんて信用できませんから。
先日、さる学会の講演に場違いな車屋さんが来てV2Vなど将来の交通システムの話をしていましたが、そんなもの退屈なトロリーバスと何が違うのだろうと思いました。見方をかえれば世間の大多数は車にたいした興味もないし安全、安楽に乗れれば満足なのでしょうか。たぶん今後もトヨタさんの車に興味を持つことはないだろうと思いました。大昔の2000GTとかよかったのにねえ。
自分で乗り物を買うときに利便性とか実用はもちろん重要ですが、「自由」を買うんです。家電屋みたいなモノ作りをするメーカーはそれがわかっていない。アルバイトして作った金で最初の一台を手に入れたときの気持ちを忘れたくないですね。
Steve Jobs 1955-2011 ― 2011/10/06 21:13
引退のニュースを聞いて、そろそろ危ないのだろうと思っていましたが亡くなりましたね。Steve Jobs氏。わたしが高校生の頃にApple IIが高価な値段で売られていたことは覚えています。PETと人気を二分していましたが学生に手が出るお値段ではなかったし、オートバイのRZ250のほうが遥かにわたしの興味をひいていました。コンピューターをどう使うかという想像が出来なかったのですね。凡人ですから。 最初にアップル社の製品に触れたのは会社の実験室にやってきたMac IIです。大きなベージュの箱にマウスとかいう変なものがついていて冗談でなくその使い方がわかりませんでした。マックは直感的に操作できる、というのは嘘ですね。 自分のお金でMacintoshを買ったのはColor Classicというコンピュータが最初です。StyleWriterという格好良い白黒プリンターとあわせて40万近く使ったように覚えています。わたしは得意げに当時働いていた大学の研究室に持って行って電子の散乱の格好いいアニメーションを作ったり、格好いいプロットを作っては悦に入っていました。その頃はJobsが排除された時代だと思いますが続々と出る新しい技術に働いて得たお金のほとんどをApple製品につぎ込みました。たぶん911の一台くらいは買えただろうと思います。最初のデジタルカメラもQuickTakeという切手サイズの写真が十数枚撮れるというアップルのカメラでした。当時はアップル製品の出来は最悪に近かった時代で信頼性はまるでゼロ、もしくは昨今のWindows並みでした。おかげで当時撮った写真も残っていないし困ったものですが目新しい技術が導入されることに関しては比較する他のコンピューターはなかったと思います。 アップルを追い出されたJobsが作った新しい会社がNEXTですが、NEXTSTEPというOSがPCでも使えるようになるとそちらを試したりもしました。当時はPCで何をするかが問題ではなくて、PCそのものが興味の対象だったのです。もっともドライバーはないし、画面はpostscriptで美しいけれどやれることもほとんどない。その代わりコンパイラなどもついてきたわけですが残念ながらGUI時代になってわたしはプログラミングからドロップアウトしていたので使い道もありませんでした。
アップルが最初の製品を出してからJobsが戻るまでの間がたぶんパーソナルコンピュータそのものがおもしろかった時代でしょう。使い道もはっきりしたコンピューターにはそれほど興味もひかれません。ただの家電品ですから。そんな時期にJobsも亡くなり、ひとつの時代が終わったのだなと感じます。
ところで昔のマックファンにとって本物のヒーローは別のSteveでした。Stephen Gary Wozniak このおじさんには長生きして欲しいですね。
山田峠 ― 2011/10/09 22:01
志賀草津道路の山田峠に出かけてきました。今回はまったく林道なしです。途中の一沼あたりで既に大変な渋滞でしたが草津に近づくほど車の数は増え、つづら折りの道路に延々と車が連なるのを見たときは戻ろうかとも思いました。雲の中は暗いし寒いし。しかしその甲斐あって峠の横の丘に登って眺めた景色はなかなかのものでした。緑の草原とまばらな針葉樹が視野一杯に広がっていったいここはどこの国だろうかと思いました。まばらな樹木が実にミニチュアめいていて誰かが作ったジオラマを眺めているようでした。
延々連なる車の列にはうんざりしましたがおかげで景色をゆっくり眺めることもできました。自転車で来るひとも実に多くて車種も新しいロードバイクから鉄のビアンキ、MTBといろいろでした。みるからに苦しそうな顔で登ってくるので応援しながら見ていましたが、草津方面からあのつづら折りの登りを自転車で来るのはさすがにつらいでしょう。私は一日がかりでも無理。
みかけるオートバイは大きな排気量のものが圧倒的に多くて昔はよく見た250ccのトレールバイクはあまり見ませんでした。まあ遠くに出かけるには大排気量の方が楽だとは思います。朝出るのが遅かったので高速道路で時間を稼ぎましたが250TRはまず車には勝てません。たとえ相手が軽自動車でも。その代わりに峠道に入ってペースが落ちれば快調です。帰り道は街灯もない真っ暗な峠道を走って来たのですがさすがに怖かったです。先は見えないし、アニメに感化されすぎた「速い車」には無茶な追い抜きをかけられるし。
ともあれ12時間走りっぱなしで秋の風情を堪能してきました。燃料はちょうどタンク3本分を使いました。へとへとです。 休みの最後の一日は虫だらけのバイクを洗ってゆっくり過ごすつもりです。
あれだけ疲れていたのに早朝に起きてしまい、バイクなど洗っていました。クロネコさんが昔のヤマハIT風のフロントヘッドライトカウルを届けてくれたので取り付けてみましたがとても大きい。せっかく美しい緑のランプボディなのにもったいない気もします。外すのはいつでもできるのでしばらくはこれで行こうかと悩んでいるところに近所の小学校の運動会の大音響です。近くの渓谷にバイクで逃げることにしました。結局は今日も走ってしまいました。ところでTRのマフラー位置は低いのでこれまでにトレールで何度も横をぶつけて傷を作りました。塗装すればきれいにはなりますがなんとかならないものか。こういうマフラーのレイアウトは昔のオフロードバイクには珍しくありませし、バッグを吊るすには安全でいいのですが。それでも一回焦がしたのですがね。(10/10)
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