"Motorcycle Dynamics"2012/05/19 18:17

出張など長い時間を電車で過ごすときに暇つぶしに最近読んでいる本が"Motorcycle Dynamics"という本です。内容は高度に専門的ですが奇妙なことにVittore Cossalterという著者のプロフィールは1947年に生まれて1986年から大学教授をやっている。1965年からライダーだった。としか説明がありません。いろいろ調べてみるとVittoreさんはパドバ大学でモーターサイクルエンジニアリングのコースを教えている先生のようで本の謝辞にも博士課程の学生の名前が一杯並べてある。この大学は1222年創立でかつての教授にはコペルニクス、ガリレオ、卒業生にはマルコーニがいる!しょうもないスポーツ選手とアナウンサー、芸人ばかり「排出」しているわたしの母校とはえらい違いですがそこは700年の歴史の差ですね。

各章の最初にはオートバイのイラストが描いてありますが1台目はビアンキのフレッチャ、他にもモトグッチ、ベネリ、パリラ、ジレラ、アグスタそしてドゥカティと愛国心あふれるラインナップでした。この先生が乗り出した頃はモトモリーニの世界最速の250ccシングルがGPを席巻していただろうになあ。最後の章だけは写真なのですが古いモトグッチのファルコーネはご自身の愛車だそうです。1957年製の500ccシングルですね。

この本は学部程度の古典力学と制御理論の知識があれば読める程度の内容ですが、本質的に複雑な系であるので断片的な知識を統合して自分なりの理解をすることが難しいです。救われるのは著者が自身もライダーであることで、この本を読むライダーが何に興味を持っているかはおさえておられるので断片的に興味ある章だけを読んでもなんらかの示唆を得られるでしょう。きちんとした学問的背景を持つひとが書いたこのジャンルの本は少なく読む価値があると思います。ライダーの本棚を埋めるべき一冊ですね。来週は出張もあるのでホテルでこの本を読みます。何度目だろう。

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